烏丸通りを御所と反対側に一筋入ったところにある山田松香木店。
落ち着いた店内には香道に使われる伽羅などの香木から、香りを手軽に楽しめる練香や印香、香炉や香立といった道具がディスプレイされてます。
坪庭を隔てて香木を削る職人さんの姿を横目で見つつカウンタに座ると、その正面には薬箪笥が並び、まるで漢方薬店に入ったよう。それもそのはず。古来より香木は薬と珍重され、山田松香木店も始まりは薬種商から。
ここ京都本店では要予約ですが、短時間で香道の世界を体験できる「聞香体験」や、平安貴族も楽しんだ「薫物」などを調合できる体験コースがあり、奥深い香りの世界の入り口を案内してもらえます。
「聞香体験」では熾した炭を埋めた香炉の上に、銀葉に載せられた香木の小片が置かれます。簡単な聞香のお作法を教わり、それに従って香炉を持った手の内に顔を近づけるとその瞬間に鼻腔が香りで満たされます。
いつか嗅いだ記憶にある香りと全く違う鮮やかな香りは、いつまでも聞いていたい気持ちに。香りを「聞く」という行為がどんなに贅沢か、先人たちの気分を、ほんの少しだけ味わった心持ちです。